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なのはSSひっそりと書いてます。 ←の青年は特に関係ありません(ぁ ※携帯閲覧者の方には、ドイツ語が対応しておらず文字化けする可能性があります。ご了承ください。
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「どうだ?」
「命に別状もないし、何より外傷もないのだけれど……」
シグナムの言葉にシャマルは俯きながら応える。
ヴィータとザフィーラはアースラへ戻ってきた。しかし、仕事を遂げたという空気ではない。
 「やはり私の判断が――」
「お前が悪いわけではない、あまり自分を責めるな」
「貴方もよ、ザフィーラ。それに今日は私だって役に……」
 ベルカの騎士達は各々に言葉をこぼした。

「なんにせよ君達のせいではない。それよりも今はザフィーラ、詳しい報告を頼む」
クロノはその空気を察しつつも、訊くべきことを尋ねた。
ザフィーラもそれに頷き、先程の戦闘の報告をはじめた。

――
鋼の軛により逃げ場をなくしてのラケーテンハンマーでの強襲。
ヤツの機動性から回避は難しく、受け流しというやつの防御性能は貫通すると思われた。
だが、ヤツは止めた。

「ヴィータちゃんの攻撃は物理ダメージも重いのに、それを止めるシールドなんて……」
「いや、ヤツが張ったシールドは確かに突破した。だが、ヤツは素手でその貫通してきたモノを止めたのだ」
「何?」

グラーフアイゼンが叩きつけられる時、ヴォルマルフはシールドを展開した。
「そんなもん……っ!!」
突破されないはずもない。確かにそれくらい薄いシールドだった。
だがその間に、手に持った鉄扇を地へ捨て、その先端の位置を把握することができた。
それにより、シールドを打ち抜き、迫り来る突端を左手で掴んむことが出来るようになったのだ。
回転するスパイクに触れようものなら、その腕が粉砕されるはずのその鎚を。

「なっ……!?」
ヴィータは驚愕した。
悪手であるそんな事をためらいもなくしてきた目の前の敵に。

「やはり貴女は優秀な騎士のようだ。故に―――私には勝てない」
ヴォルマルフの腕をダメージが伝導し、腕から鮮血がピシピシと噴き出す。
そんな中、彼の言葉と同時に足元に魔法陣が浮かぶ。

「ヴィータ!」
「砕け……神鎚(カナヅチ)。――ミョルニール!」
右の拳をヴィータの腹に打ち付ける。
空気が止まる。――遅れて、衝撃波が彼女の身体を突きぬけ空を駆け抜けた。

かけた声に遅れて身体が動き出す。

「うおぉぉぉぉ!」
雄叫びと共に迫る。が、力なくだらりと垂れたヴィータのをフワリと投げ渡されて静止した。

――
「その一撃だけで、ヴィータが……」
シグナムは、ドアの向こうに眠っているヴィータの方を見て言う。
「バリアジャケット、体は外から内臓に至るまで、どこにも傷一つないの。ただ、リンカーコアを損傷しているわ」
「命に別状はないが、魔導師として活動できないと……しかし、治るのか?」
「わからないわ……闇の書のように蓄積した魔力を抜くわけじゃないから……」
「まだ、話に続きがある」
状況把握に努めるクロノと、説明に困るシャマルの間に、ザフィーラが口を挟んだ。

「ヤツが言うのが本当なら、一週間以内に回復するだろう」
「その守護獣が言ったのか?……どういうことだ?」

――
「その子の魔力源を一時的に断ちました。命に別状はないですが、一週間程度、安静にさせてください」
「何?」
「その騎士を連れて去りなさい。このまま貴方が私と戦うというのなら、その子の命も保障できません」
ヴォルマルフは赤のラインが流れる左腕を垂らしながらも、変わらぬ表情でそう告げた。
ザフィーラはその言葉が腑に落ちなかった。

「初めに言ったはずです。引き返しなさいと」
――武器を収め、引き返しなさい――
確かにヴォルマルフはそう言った。

「……その前に、聞きたい事がある」
ザフィーラはヴィータを抱え浮遊したまま訊ねた。
「何でしょう?」
「貴様は我々を帰すという。ならば先程、こちらの先行部隊がこの世にいないとは、どういうことだ」

ザフィーラには分からなかった。このヴォルマルフの態度あって、何故彼等は帰ってこないのか。
何故帰ってこれない事を知っているのか。

「それは……信じてはもらえないかもしれませんが、私は一度帰したのです。ですが彼らは再び現れ、再び……」
「帰したのに報告に戻らず……だと?」
「その時、彼らの様子は妙でした。その様は狂気に呑まれたかの如く……手を下さねばならない状況でした」
ヴォルマルフの言う事が本当なら理解できる。
だが新たな謎が生まれる。
隊員達が狂戦士としてヴォルマルフとの戦いを求めたというのなら、"何が原因なのか"。

「……そうか。"コレ"は少々真っ直ぐ過ぎて戦闘となったが、我々はこの地域に起きている異変の解決を求めている。また、話合いに訪れるかもしれんぞ」
「お話できる限りであれば。しかし私が守る対象は、教えられません故」

―――

『ちょっといいかい?』
ザフィーラの報告が大体済んだところで、無限書庫のユーノ・スクライアから連絡が来た。
クロノが頼んでその地域について調べてほしいと頼んでいたのだ。

『その山の事だけど、言い伝えのようなものがあるみたいなんだ。"魂を喰らう鬼"が住んでいて、巫女がその聖なる命を捧げて封印したっていうのなんだけど』
「"魂を喰らう鬼"……。それが何か関係ありそうなのか?」
『飛躍しすぎてて確率は低いんだけど……。もしかしたらとびっきり危険なロストロギアなのかもしれない』
モニターに映されるユーノの顔は険しい。
クロノもはっとして声を上げた。

「まさか……"回帰の棺"!?」
クロノの反応にシグナム達も危険の色を感じ取る。

「そんなに危険なのか?それは」
「……夜天の書が"闇の書"として発動していた菟集が"魔力の収集"なら、"回帰の棺"は"生命の収集"といえばわかりやすいか」
「「「!?」」」

"回帰の棺"。半分都市伝説として記録されていたロストロギア。
ソレは対象の生命を奪い集めるという脅威のプログラム。
その条件や利用価値など一切不明。ただ、ソレにより過去一つの世界は終わりを迎えたという記録だけ。


『あくまで仮説だからね……。でも、可能性が捨てきれない。なのは達が心配だよ」
一同その意見に同じ……かけて、ん?と首を傾げた。

「待て。そこでどうしてなのはの名前が出てくる?」
「確かに……なのはちゃんもフェイトちゃんも、はやてちゃんと一緒に学校の校外学習に参加してるはずじゃ……」
「どういうことだ、ユーノ」

『え……と、クロノはともかくシャマルやシグナムも知らなかったのは意外だなぁ。言い難いんだけど、なのは達その近くで
やってるんだよ。詳しい場所は聞いてないけど、地名が一致しているんだ』
アースラの中の空気が一瞬固まった。

「という事は、フェイト達が危ない!?」
「あの念話すら届かん場所に主達が?!」
「ああああ、どどどうしよう~!?はやてちゃんが~!!」
「お、落ち着け!ええい今度は私が行く!」
クロノも、ザフィーラも、シャマルも、そしてシグナムすら動揺している。
ユーノはそんな珍しい光景を見せられ苦笑していたが、ハッと我に返る。

『お、落ち着いて!とりあえず事が事なんだから慎重に動かないと……って話を聞いて~!!』
クロノがモニター越しに、皆を落ち着かせるのに数分かかったという。


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