忍者ブログ
なのはSSひっそりと書いてます。 ←の青年は特に関係ありません(ぁ ※携帯閲覧者の方には、ドイツ語が対応しておらず文字化けする可能性があります。ご了承ください。
[1]  [2]  [3]  [4
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


嵐の夜、意識は唐突に始まった。
産声とか、父母の愛とかそんな過程はない。
ただ与えられた"情報"がその身体に溶け込んで一つになっていく。

──世界の情報
──魔法の情報
──自分の情報
──使命の情報

ただただ伝わってくる。やるべき事はただ一つ。

《護れ》


「武器を収め、引き返しなさい」
ゆらり。という表現が丁度良いか。ヴィータ達の前に現れた物静かな男。
長い銀色の髪に切れ長の目。澄んだ金色の瞳は髪や色白の肌に映える。
この世界の人間でないのはわかる。男には獣の耳と尾があった。
魔法が一般的でないこの世界ではザフィーラとテスタロッサの使い魔アルフ以外見たことがない。

「てめー、何モンだ」
「……鞘の守護獣、ヴォルマルフ。この山に踏み込む輩に、その手の刃収め引き返していただくのが我が使命。
 」
「じゃあききてー事がある。ここに来た武装隊のヤツらハズだ。帰ってこねーんだが?」
退けと言われたヴィータはズイと一歩踏み出て直球に訊ねた。
ヴォルマルフと名乗った男は顔色一つ変えずにそれに答えた。
「……彼らはもうこの世におりません。捜しても見つかることはないでしょう」
「ってめー!!」
その物言いに刺激されてか、ザフィーラの静止の声の前にその手にある鉄槌を振るう。
ヴォルマルフはゆらりとコレをかわし浮遊した。
「どうしてもお引き取りなさらないならば……上で相手になりましょう」

 ◇
上空に出ると男は律儀に結界で空間閉鎖を行った。結界の規模としてはやや狭い。
「ヴィータ、熱くなるなよ」
ザフィーラは諭す。ヤツの言葉に続きがあったような気がするのだが。
「わかってるよッ……」
男の手には何かが具現化される。
左右の手に鉄扇。……デバイスではない、ただの近接戦闘用の武具のようだ。
「試させていただこう」
「この――野郎!」
《Schwalbefliegen.》
中距離誘導型射撃魔法シュワルベフリーゲン。グラーフアイゼンにより打ち出された4発の鉄球は唸りを上げて対象へ飛翔する。

ゆらりとヴォルマルフは動きを見せたかと思うと、ギィン!と音を立て、弾は扇を滑り、彼の後ろへと抜ける。
アイゼンはこれを制御、誘導し、再び背後でカクンと軌道をかえさせる。
「ふむ」
背後から飛来する2発の燕をまた風に舞う花びらのような動きで避ける。残り2発は今度は扇を凪ぐと真っ二つになり爆破した。

「ハアァァッ!!」
人の型となったザフィーラも間合いを詰め己の拳を浴びせようとする。
だがこれも水面を撫でるかのように手応えなく受け流されてしまう。

「やはり隙がないな」
間合いを取ったザフィーラは目の前の守護獣を見据えて呟いた。

"ザフィーラ、ラケーテンで仕掛ける"
ヴィータが思念通話で告げると、グラーフアイゼンがガコンッ!とカートリッジをロードする。

"わかった"
そう答えるとザフィーラの足元に魔法陣が浮かぶ。

「ゆくぞッ!鋼の軛!!」
ザフィーラの得意とする範囲型拘束魔法、鋼の軛。
ヴォルマルフの下方から拘束条が伸び迫る。
突き刺し動きを止めるのではなく、彼を包囲し動きを封じる。

ほんの数秒。彼は拘束魔法の繭の一部を破壊し外へ出てきた。
だが数秒拘束できたのだ。それでいい。

「もらったぁーーーーーーー!!」
ラケーテンフォームとなったアイゼンを握りしめ、ヴィータが目前に躍り出ていた。
後はその痛烈な一撃で敵を打つのみ。


「ラケーテン……ハンマーーーーー!!」

 

PR




Copyright (C) 虚時空の書庫 All Rights Reserved.
Powered by NinjaBlog | Template by 紫翠

忍者ブログ | [PR]